292人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
「......ん?てか...何か、渋谷くんいい香りするな...」
「それもだけどよ...相模......お前、俺らのジュースはどうした?」
「......ああ、シャワー浴びてきたからな。......あと、多分それはさっき...コイツとぶつかった時ぶちまけてダメにしちまった。......缶がいきなり爆発した、みたいでな」
「そっか、シャワー............って......何、だと......!!?」
うわぁ、口止めしときゃよかった。見事に忘れてたわ、いきなり色々ありすぎて。
頼まれたジュースをダメにしただけでなく、ボスの渋谷に危害を加えたとなったら打ち首獄門なんじゃないのか。
...いざとなったら正当防衛という事でコイツらをボコボコにして記憶を消すか...?
と、半ば覚悟を決めた俺が拳を握り始めた時。
「だ、大丈夫だったんか、相模!?」
「缶が爆発だぁ!?...クソ、どこのグループのヤツらだ!......汚いマネしやがる!!」
「食べ物を粗末にするなんて許せねぇ......!!俺らを潰したきゃ正々堂々向かってくればいいのによ!!」
「...相模が買ったジュースに爆発物を仕込むとは......ヤツらもやり方は姑息ではあるが、頭を使ってやがんな...」
......おっとぉ、その発想は無かったなぁ......つうか何なの最近の学生は炭酸を振ったらダメって知らないの?これどこかしらで習うもんじゃないの?自然と身につく知識っつうか。
「と、ところで、渋谷くんは無事だったのか!?」
「......アイツだけが被ったからな」
「......マジかよ...!やるな、相模ィ!!見直したぜ!!」
「爆発から渋谷くんを庇って自分だけが怪我するとは......やっとグループの一員らしくなってきたな!!」
「今までクソ雑魚と思い込んでパシって悪かった......お前はこんなに度胸のあるすげえヤツだってのによ!!!」
...なるほど、既成事実というのはこうやって作られていくのか。
俺が一方的に悪いだけのちょっとしたよくある珍事件が、最終的には俺が体を張って渋谷の命守った事件にすり変わっていた。
それから、俺は誰からも一切パシられなくなりました。
...........................うん、計画通り!!!!
最初のコメントを投稿しよう!