モノクローム

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

モノクローム

モノクローム 寂れた《さび》学校の教室。 私達はこの学校から旅立ちます。 そう、胸に誓ったあの頃……。 私達のモノクロームの青春は始まっていた。 今にも壊れそうなこの校舎。 私達は、思い出にレンズを向けた。 でも、どこか昔の校舎を多々思わせるような 感じで、他の都会的な学校に行くというよりも「学校に行きたい」そんな学校だとは、私 は思う。 こんなこと思う私は変たろうか。 青春という字は、綺麗な字で表現されている。淡い春の訪れが来て、時には別れが来るということが含まれていると私は思う。 思い出は人々によって違うし、記憶を蒸し返すものでもない。 自分の胸にしまっておくもの。 そんな事を思っている内にもう、この校舎と お別れの日がやってきた。 式も終わり、やっと一段落ついた。 教室に戻り、先生は……。 一呼吸おいて、静かに話し始めた。 先生が、「皆と一緒に居られるのもこれで、 最後だなぁ……」そんな事を口にした先生の 顔から、大粒の涙が零れていた。 沢山の人達との出会いが逢ったが、唯一私が 本当の友達だと思っている"彼"は、見捨てたりはしなかった。 彼がいたから私は、思い出を残すことが出来た。 彼のレンズの向こう側に私が、どう写っていたのかは分からない。 たけど、人間は忘れていくものだけ、彼のようなものだったら、楽しい思い出も苦い思い出も、どれも蘇らせてくれる。 だから、私は彼に会わなければ、こんな幸せなことはなかったからだ。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!