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出逢う
それは勤労感謝の日のことだった。
その日の朝。車数台連ねてのドライブが開始されようとしていた。
行先は群馬県にある神流川上流の下久保ダム。通称神流湖。
そのダムを見下ろす高台が最終目的地だった。車どころか免許証も無い私は、ドライブに憧れていたのだ。
私は以前、家事手伝いと称して家業を手伝っていた。
自宅を改造して作業場にした父。
その頃は先見の目があったらしく、物凄く忙しかったからだ。
でも二十二歳の時、父親がコネで見つけてきた丸山電子に就職したのだった。
社内恋愛……も経験した。
でもそれは、一年程前に決着した筈だった。
その人は守と言う名前だった。
守は背が低かった。私と2cm位しか変わらなかった.
でもそんな事どうってことなかった。
でも守は嬉しさの余り、結婚を前提にしたお付き合いをOKしたことを風潮したようだ。本当はいずれはバレる事なのに……
別れた本当の原因は、田舎にしては珍しくふしだらな男性遍歴を重ねていると噂の女性社員の敦子(あつこ)の一言だった。
『何でも、即答だったらしいよ。よっぽど男に飢えていたのね。私は嫌だわ、あんなチンチクリン』
敦子の言葉に私は打ちのめされたのだ。
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