24

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ

24

「じゃ、皆元気でねっ。」 「ああ。またな、いろは。愛してる。」 「また昔みたいに喋れて、嬉しかったわ。ありがとう!」 「俺がいるから、桔梗のこと心配するなよ!」 皆思い思いの別れの言葉を言って、いろはを見送った。 そしてしばらくすると白い光は消え、小さな身体はパタリと倒れ込んだ。 「いろはの魂がずっと入ってたから、小さな羽多ちゃんには負担だったのかもしれません。ゆっくり、休ませてあげて下さい。いろはの代わりに謝ります。娘さんを利用して、申し訳ありませんでしたっ。」 そう店長に謝ると、「良かったですね、最愛の人に再開出来て」と笑顔を見せてくれた。 「ありがとうございますっ。また来ますね!」 「お待ちしております!」 その後は架純さんと拓郎さんと別れ、浮わついた気分のまま家に帰った。 「ふうっ。何だかどっと疲れが出るなあ。」 これは笑い疲れなのか、泣き疲れなのか。 そんなことを考えながらソファーに腰を下ろしスマホを開くと、ホーム画面の画像が、いろはが帰る前に四人で撮った写真に変わっていた。 「あれ……?」 何だかその写真には違和感がある。 良く見ると、羽多ちゃんの顔だった場所が、いろはの顔に変わってることに気が付いた。 「悪戯が過ぎるぞ。……でもありがとう、いろは。」 僕は愛しいその笑顔を撫でると、空に浮かぶ幾つもの星を眺めた。 「なあいろは、僕、きっとお前が惚れ直すような男になるから。目離すなよ?」 その瞬間、一つの星が光ると共に、いろはの笑い声が聞こえた気がした。 「ありがとう、僕と出会ってくれて。」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!