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放課後、うなだれる俺とは真逆で遠足でも行くような足どりで歩くユキちゃん。
『心配すんなカズヤ。とっておきの“秘薬“も用意したから大丈夫だ』と言われ、更に不安が増幅。
いくら男同士のソレに疎い俺でも“秘薬”は不要な事ぐらいわかる。
えーと……まずその“秘薬“の使用用途をぼかさず明確に説明してもらえますかね?
あと、それは製薬会社から購入した正規のものですか? 違法な成分が検出されないタイプのものかどうか確認がとれるまで、俺はNOドラッグ&NOドッキングを貫きますよ!
と、心の中では大声で叫んでみたものの、当然伝わるはずもなく。
隙を見て逃げ出せないかとキョロキョロするが、ガッチリ腕を掴まれてる上に、『俺から逃げようなんて考えるんじゃねぇぞ?』とホラー映画に出てくるサイコパスみたいな目をするユキちゃん。
今まで頭突きしたり発狂したり御経唱えてドッキングを回避してきたが、もうその方法は通用しそうにない顔だ。
家に入ったら最後、二度と出られない気がして“パソコンのエロ動画を消しとくべきだった”と後悔したその時。
『あれ? カズヤ?』
聞き慣れた声が俺を呼び止めた。
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