0人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、私はお母さんに旅に出ると宣言した。
「どこに行くの?」
「北海道に行って、沖縄に行って日本縦断。いいでしょ?春休みあと5日あるし、1か月半も鬱々したシナリオ演じてたから気分転換したいの」
「何を言っても、あんたのシナリオを生きるんでしょ」
心配ばかりかける娘でごめんね、と心で謝りながら、東に向かう駅のホームに立った。
直人君はどっか遠くに旅立ったし、私も歩き出そう。
これからも予期せぬ、悲しいこと苦しいことが起きる。私はその都度、乗り越えるためのシナリオを即興で書かなければならないだろう。
直人君のおかげで自信がついた。私は、私が書いたシナリオの中で自在に自分を操り、勝ち超えていける。
強い心で演じるシナリオのクライマックスは、必ず幸せの感動に包まれて、縁した人々が笑顔で拍手を送り合うのだ。
【完】
最初のコメントを投稿しよう!