2人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
<0>
とある地方都市の、とある街。
いつしか、そこには吸血鬼が出ると言う噂が出回るようになりました。
曰く、真夜中に口から血を垂らしている赤黒い何かの影を見た。
曰く、帰宅途中の子どもが神社の近くで「血を寄越せ」という唸り声を聞いた。
曰く、地域の病院から採血のスティックが盗まれた。
どれも都市伝説や怪談の域を出ない、曖昧なものでした。
でもね、でもねぇ。
「火のないところに煙は立たぬ」って言うでしょう。
そこには何かしら、裏の事情があったりなかったりするものなんです。
そして思っているよりも拍子抜けみたいな、可愛いような可哀想な人たちがいたりします。
何でもかんでも、オカルトや呪いに結びつけないでほしい。
ーーーあなたにだけは、それを分かって欲しかった。
最初のコメントを投稿しよう!