時雨

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僕がどもりながらそう呟く間、また彼は僕の知らない大人びた顔をしていた。その顔が今まで以上に揺らいで見えた。 ふと彼の手が少し乱暴に僕の頬を撫でた。 なんでお前が泣いてるんや。 僕は一瞬意味がわからかったけれど、その時初めて頰が少し痒い事に気がついた。 僕は泣いていた。なぜか全然わからない。けれど、彼の目を見ているとぎゅっと心臓が握られたみたいに痛くなったのだ。
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