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第4話 相変わらずすっげえパワーワード
オレの墓場生活2日目──
...こう書くとテレビ番組っぽいな。無人島にでも来てる感じ。
まあ実際は...二日酔いの爺さんたちがあちこちでうめいてるような惨状だけど。
「えーっと...おはよう...ございます...?又吉爺さん...?」
「ん~......?おお、徹か おはようさんだ」
「大丈夫...じゃないですよね」
「...なーに...これくらい平気平気...うえっ」
絶対ここ地獄だな、うん。
「お、起きてたかい おはよう、徹」
ずいぶん体調がよさそうな声だと思ったら又吉爺さんの奥さんだった。
「あ、おはようございます」
「やっぱりこの人は二日酔いかい?...しょうがないねえ、ほんとに」
手慣れた様子で介抱しているのを見ると、生きている頃はもちろん、死んでからも何度かこういうことがあったんだろう。
「ああそうだ、葬式には行ったのかい?」
「あー...いや、行ってないです」
「そうかい...まあどっちにしろ、家族が骨埋めにくるはずだよ」
骨...オレの骨...ホネ?とことん実感ないなあ...。
「ああそうだ徹...お前...なんで死んだ?」
相変わらずすっげえパワーワード。
「あーっと...確か...猫追いかけてたら車に轢かれて...」
「そりゃ最近の......なんだったか...ら...ら...ら...」
...ラノベかな?リアルに死んだ人に割と失礼なこと言ってるっていう自覚はお持ちかな?ん?
「あんたねえ...」
失礼なことを言っているという自覚がない爺さんを見て、婆さんがため息をつく。
「おーい!徹!骨来たぞー!」
骨が来たとかいうパワーワード。うん、突っ込んでたらキリがない。ていうか...
「声でけえ!聞こえたらどうすんだ!」
「なーにいってんだぁ?幽霊の声が生きてる人間に聞こえるかっての!」
...言われてみればそうか...。まだ慣れねえわこの世界...。
「どれどれ...徹の家族はどんな.........ん?笑って...る...?」
急に墓場が静まり返ったのが分かる。オレはこっそりと墓場から離れていた。
やっぱりだ。やっぱりだった。
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