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♰59 シスター・アイリーンと堀田幹夫5
よろず屋の店内の天井からギシギシという音と、ときどき女のあえぎ声がきこえていた。シスター・アイリーンはその音をききながら、店のなかで逡巡していた。
よろず屋の二階にはここの夫婦の愛の巣があった。黒木はすっ裸で布団に寝そべり、右足には妻がしてくれたグルグル巻きの包帯があった。軽い捻挫だったが、かれの妻は、かいがいしくたいそうな処置を施してくれていた。そんなかれの下腹部の上にはもちろん全裸の由香子が乗っていた。
「ア、ア~ン。アナタァ~ン」
黒木は由香子の積極的な腰使いに翻弄されていた。黒木はこんや、足のけがを理由に由香子におもちゃにされていた。(それは、うらやましいことではないか?)黒木はもう発射寸前であった。
「あ、ああ! イ、イクゥーッ! ハ、ハニー! で、出ちゃうよぉ」
「あら? まだ、ダメよ」
と、由香子が夫の右足に触れた。
「あっ! 痛い! 痛たたたっ!」
「どう? これでこらえることができたかしら?」由香子は身を反らせた。「ダーリンには、きょうはトコトンがんばってもらうだっちゃ」と、妻の上下運動に拍車がかかった。
今宵の夫婦の営みは、由香子の趣向で彼女はトラ縞模様の下着に、かわいい角がついたカチューシャを頭にセットしていた。
「ア、ア~ン」「ア、ア~ン」「ア、ハァ~ン」
と、女のあえぎ声がきこえる階下の店のなかでは、シスター・アイリーンが売り物の榊をひと束、手に持ってまだ踵をめぐらせていた。
「あ、あのう……ス、スミマセーン?」
と、店の奥に声をかけたが、なかからは返事はなかった。
シスター・アイリーンは店から一歩出た。が、おもいなおしてまた店内にもどった。
「こまったなぁ。このまま出ていったら、ドロボウになっちゃうし……」彼女はため息をついた。
黒木と由香子の愛の巣では、由香子がそれはもうすっかり興奮して、緑色のウイッグをふり乱しながら快感をむさぼっていた。黒木はもう暴発寸前だった。
「ラ、ラム……、いや、由香子ぉ~。そ、それならせめて背中をみせて――背面騎乗位――で、乗っかって欲しいよぉ。ねえ、お願いだよぅ。マイ・ハニー」
「モォ。ダーリンは変態だっちゃねぇ」
と、由香子は「しょうがないわねえ」と黒木の腹の上でからだをクルリとまわした。
「あ、あのう……これください……」と、榊を手に持ったシスター・アイリーンが立っていた。
「キャーッ!」
「ウッ! テ、テンちゃん!」
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