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仕事に疲れたからどっかに行きたいな。これは誰しもが一度は思ったことがあるだろう。しかし――
「ここ、どこ?」
ナースステーションにて、ちょっと仮眠と横になっていたはずの竹内由香の目の前には、なぜかスライム。もにょんとした、なんともいえないスライムがいる。しかも寝転んでいる場所は草原。
「えっと」
困惑しているとスライムの仲間がやって来た。何やら色が緑や青や紫と、ぷよぷよの如く色んな奴がいる。そいつらがわらわらと、どこからともなくやって来る。
「夢よ。そう、夢」
これは夢なんだと、由香は必死に目覚めようと暴れたが、一向に目覚めない。ただ、山のようにいるスライムたちが、そんな由香を物珍しそうに見つめているのみ。
「嘘。何これ。よく小説とか漫画である、異世界転生!?やだやだ、うそうそ。夢よ夢」
認めないわよと、由香は手近にいた緑色スライムを掴んだ。やはりもにょんとした触り心地。しかもひんやりとして気持ちいい。
「あら、しかもミントっぽい匂いまでする」
くんくんと、スライムを匂ってみると、爽やかな匂いがしてびっくりした。しかも、その当のスライムも恥ずかしそうに目を細めている。やはり、生きているらしい。
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