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叔父さんは少し間を置いて『わ、わかった』と答えた。
なんだか、今日の叔父さんはやけに物分かりが良い。そんなにラブレターが見られるのが嫌なのだろうか。
「これ、ちゃんと通話が残るようにしている携帯からね。踏み倒すような真似したらダメだよ?」
まあ、そんな叔父さんの個人的な事情はどうでもいい。深く立ち入る必要もないだろう。
私はジャージを着て軍手をした手で1mくらいのスコップを持って、神社の裏山を登っている。
かなり登って疲れているけど、この裏山自体は幼稚園児でも引率付きで頂上へ登れるものだから、そこまで険しくない。
それに、携帯の電波はちゃんと届いている。
ポケットの中の携帯が震えた。叔父さんからだ。
「叔父さん、本当にこの裏山で合ってるの? 目印見つからないんだけど。全然……」
私は息を切らしながら、そう伝える。
山歩きがきついことより、もう探し始めてから三週目の土曜日なのに全く見つからないことの方が問題だ。
「ラブレターってそこまでして探す必要あるの? 100万いらないから、やめたい。ポメラニアンだけでいいー!」
『お願いだから、もう少し頑張ってくれないか。本当に変なことに付き合わせて悪かったと思ってるけど、これは俺の命に関わることなんだ』
「そ、そこまで言う?」
『ああ。お金、上乗せするから諦めないでくれ』
どうして、叔父さんはそんなに必死なのだろうか。
「一応、ちゃんと粘るつもりだよ。次、しっかりと探せそうなのって明日と来週の土曜日くらいだし」
私は必死に考える。叔父さんがそうまでして私にタイムカプセルを探させる理由を。
「もしかして、手紙の内容ってセクハラ的な内容だったとか? 水着がエロいとかそういう……」
ブチッと電話を切られた。
――まあ、いい。叔父さんはいつも電話で進捗状況を聞くだけだ。何かタイムカプセルについて役立つ情報をくれた試しがない。
残る手段は色々と考えてから行動するしかない。この裏山はこれまでの週末で隅々まで探し回った。
まず、もう行っちゃったけど、卒業式の後にわざわざ頂上を越えた側の山にタイムカプセルを埋めには行かないだろう。色々と家に帰ってお祝いとかしてるだろうから、日が暮れるまでには帰っていたと思う。
歩き回った体感的に、山から鳥居の上の方が見えてきた辺りまでが掘る時間込みでタイムカプセルがある範囲な気がする。
私は木の隣に立ち、自分の背と比べてみた。そこから叔父さんの中学生だったときの身長を考える。いや、知らないけど想像で。
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