プロローグ

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プロローグ

 信じちゃもらえないだろうが、オレの彼女はめちゃくちゃ可愛い。  顔も、声も性格も、男のツボを突いてくるようなそんな彼女だ。  それに何より、十六歳でイラストがプロ並みに上手い。将来の夢はイラストレーターとして本格的に活動することだそうだ。  それはまず間違いなく叶うだろう。  そしたら、自慢もできるじゃないか。  このイラスト、オレの彼女が描いたんだぜ~ってさ。  すげえ充実感。オレ自身はなんにもすげえもの持ってないけどさ、そんなオレが唯一人に誇れるものが彼女だよ。  でさ、こっから、マジで秘密の話。  その彼女さ、イラストだけが特技じゃないんだ。  イラストはさ、ぶっちゃけ努力したら、誰でも描けるようになるだろ。オンリーワンの力ってわけじゃない。  オレの彼女はさ、あるんだよ。オンリーワン。  誰も真似できない、凄い特技。  なあ、訊きたいだろ?  なんだよそれ、って訊きたくなるよな?  驚いてもいいぜ。信じられないかもな。  オレの彼女の特技はさ、『幸運を呼び寄せる』ことができるんだ。  幸運の女神っているだろ。あれがオレの彼女。  だから、最初に言ったんだ。信じちゃもらえないって。  信じてないだろ?  じゃあ、追い打ちな。  その彼女ってさ……、猫なんだ。  黒猫。  比喩とかそういうのじゃなくてさ、愛猫の話とかじゃなくてさ。  オレの、可愛い彼女は、猫になっちまったんだ。
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