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ーその光景は、まるでよく出来た一枚の絵のようだったー
私は、彼の事を誰よりも愛している。
彼も私の事を愛しているし、私達は、このままずっと一緒にしあわせな日々を重ねていけるはずだ。
……だけど。
きっと私は何年経ってもどれだけしあわせになっても、彼といる限りあの朝の光景を思い出してしまう。
彼は私の事を愛してくれるけれど……ずっと一途に想い続けているのは……これからも一途に想い続ける女は……私ではないんだって気がついてしまったから。
許されない想いでもいい。どれだけ胸が痛んでもいい。不幸になる未来が目の前に見えていると分かっていても……
あんな風に一途に激しく私を求めて欲しかった。
私もあの絵画の一部になりたかった。
ーーそして、
私は、また眠れぬ夜を繰り返していく。
〈end〉
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