Fairytale Sunset

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 明くる日。  ギィー。  その音が合図になって、またあの子が走ってきた。  かがんで、サンダルをよく見てみると『うさぎぐみ かのん』と書かれていた。 「はい。夕刊です。」  と言って手渡すと、もじもじして、 「ごくろうしゃまです。」  と言って、また逃げるようにカーテンに飛び込んだ。  おかあさんに言うように言われたのかな。僕はクスっと笑ってしまった。  それからこんな感じで毎日女の子は現れた。  徐々に慣れてくると、「ごくろうしゃまです。ばいばーい。」と無邪気に笑い手を振って戻って行くようになった。
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