Fairytale Sunset

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 また、ある日。  この子はどうやら、僕を楽しませたいらしい。  揺れたカーテンからなかなか出てこないと思ったら、今日は弟をおぶっての登場だ。 「よっちゃんだよ。」 「こんにちは。よっちゃん。」  男の子はかのんちゃんと同じように目がくりっとして愛らしく嬉しそうに微笑んでいたが、ちょっと様子が普通の子とは違っているようだ。何か障害があるのかもしれない。 「よっちゃんにわたしてー。」  と言われたので急いで渡した。かのんちゃんは、よっちゃんが受け取るや否や、くるりと引き返すと、後ろを向いたまま「ばいばーい。」と言って、よろよろと慎重に戻って行った。  さすがに重たかったようで次の日はニコニコ笑って普通の登場だったが、弟おんぶの回は時々繰り返された。弟が可愛くて仕方がないということと、どうやら自分で直接受け取るのが恥ずかしくなることがあるようだった。  無邪気に屈託のない笑顔で現れる愛らしい天使の微笑みに、落ち込んでいる自分が段々くだらなく思えてきた。  いつしか、どんな登場をするのか楽しみで、至福のひとときとなっていた。  この頃から、かのんちゃんは僕が自転車に乗って角から見えなくなるまで「ばいばーい。」と手を振り見送るようになった。
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