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翌日。あと2日。
今日は僕から言わなければダメだろう。
何て言おう。
僕がたどり着くと、かのんちゃんは血相を変えて駆け寄ってきた。
その顔は陰り、明らかに戸惑った様子だった。
しゃがんだ僕を眉をしかめたまま、じっと真っすぐ見つめると、意を決したように口を開いた。
「おにいしゃん、やめちゃうの?」
僕は驚いた。二人で来たことから察した母親に告げられたようだ。
「言えなくてごめんね。急に辞めなきゃいけなくなったんだ。」
こんな純真な小さな子に言い訳をする。
やっとのことで、消え入るような小さな声で、
「いつまで?」
と聞かれた。
胸が張り裂けそうだ。
「…明日までなんだ。」
かのんちゃんは夕刊をバッと奪い取り、カーテンの向こうへ消えていった。
竹田もばつが悪そうしていた。
流石に今日は何も言わない。
ただ黙って二人で自転車を漕いだ。
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