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ふと気づけば、あの町で途中下車していた。
懐かしい…?風景…?
ところが、全く見慣れない新しい土地に降り立ったようだ。
10年余りの間にすっかり街は姿を変えていたのだ。
いつの間にか夕暮れが差し迫っていた。
残っている記憶の糸を手繰り寄せながら路地裏へ入って行くとかすかに見覚えのある景色もちらほら見え始めた。
あの子の家は…もう、ない、よな。
ぼんやり思いながら、何をやっているんだろうと苦笑いした。
見覚えのない小洒落たアパートの裏手に古びたあばら家が見えた。
垣根はなかったが……あの家に間違いなかった。
懐かしい。
あの頃が更に鮮明に蘇る。
でも、もう他の人が暮らしているかもしれない。
そう思ったその時、不意に玄関が開いた。
そこに制服姿の少女が現れた。
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