Fairytale Sunset

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 また始まった。  確かにミスをした。  だがほんの些細なミスだ。  この程度の事で潰れるような会社なら今すぐ辞めた方がいい。  僕が保証する。  こんなくだらないやり方で部下を追い詰めようと目論む上司のいる会社なら尚更だ。  これも保証する。  この、僕を陥れる発言で、社内にミスが多い出来ない奴だと植え付けたいらしい。  だが他の者も皆、分かっているのだ。  職域外の仕事も多く任され、取引先からも様々な依頼を受け、全てこなしているという事を。何を今更。「わりぃ。頼む。これ出来るの、お前しかいなくて。」「おたくで頼みやすいのミヤちゃんだけだからさぁ。」  断れず、他に頼れず、膨大な仕事の山を前に忙殺される毎日だ。  僕はトリアージよろしく優先順位をつけ、一つ一つこなしていく。  脳みそが毎日フルマラソン状態。  それを知っていながら皆一様に黙っているのは、その矛先が自分に向かないようにしているからだ。その仕事が自分に回って来ることがないよう、やり過ごしているのだ。  この部長のマウンティングの効力は絶大だって訳だ。  ひとしきり怒鳴って満足した部長は自身のスマホをいじり始める。  暇だから人の粗ばかりが目に付く。  そして狙ったら最後、完膚なきまで叩きのめす。  だが、誰一人文句を言う奴はいない。
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