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いつの間にか一面が夕焼けで真っ赤に染まっていた。
「キレイな夕陽!」
明るく美しく成長した少女のキラキラ光るビー玉の瞳が燃える夕陽に照らされていた。
僕もちゃんと成長できているんだろうか?
あの時、君は、ありのままの僕でいいんだと教えてくれた。
震えるほどの感動と燃える夕焼けに包まれている僕の想いなど知る由もない、あの時僕に魔法をかけた妖精は、その面影を残しながら、幻想的な背景と共に再び僕にそっと魔法をかけた。
見失いかけていた何かを取り戻してゆくようだ。
あどけなさが残るその横顔をふと見やる。
また、その一瞬を瞼に、脳裏に焼き付けよう。
並んで歩きながら、ゆったりと流れる夢のような至福のひとときを噛みしめる。
僕はまた、この子から大事なものを与えてもらった。
ふと、穏やかな、こんな街で働くのも悪くないかなと思った。
≪完≫
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