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いつものように夕刊配達のバイトを終え、クタクタになって、さびれたアパートに帰宅した時の事だった。
「ただいま。」
当たり前のように彼女のユイが家で待っていた。
黙ってテーブルの前に座っている。
合鍵が無造作に置かれたままだ。
「…あぁ。おかえり。」
力なく迎え入れた声のトーンがいつもと違う。
鈍感な僕でさえ気付く程、明らかなものだった。
「どうした、なんかあったの?」
努めて優しく語り掛ける。
ユイは黙り込む。
僕は辛抱強く、ユイが口を開くのを待った。
「別れたい。」
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