セカンドキス

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  ドサリとソファに身を沈め瞳を閉じる。 斎藤ならこんな自分を受け入れてくれると過信していた。包容力のある斎藤の人柄に重い自分が似合うわけがない。 きっと疲れて別れを切り出される。そうなる前に気付かせてもらえたんだと、言い聞かせるが、溢れてくる涙は止められなかった。 これでいいんだ……いい関係のままいようと思っていたんだから…… ぼんやりと天井を見つめているとポケットに突っ込んだままのスマホが勢いよくなり始めた。画面を覗けは「斎藤」の文字が浮かび上がっている。 毎週のように通い詰めていたんだ、いきなり来なければ少しは心配してくれていたんだろう。躊躇いながら画面をスライドさせた。 『こんにちは、今大丈夫ですか?……今日は来てくださると思ってたんですが……体調、崩されてます?』 その優しい声にまた涙がこみ上げてくる。 「ちょっと、か、風邪ひいたみたいで……今日は家でゆっくりしておきます。また来週にでもお伺いしますね…」 『大丈夫ですか?熱は?食欲ありますか?』   声のトーンが高くなり耳元で斎藤が心配してくれているのが伝わってくる。優しい人だ。痛みを知っている斎藤はどこまでも優しい。 「大丈夫です。今日はゴロゴロして過ごします」 『お疲れが出たのかな?ゆっくり休んでくださいね。来週…楽しみにしてます』 楽しみに待ってくれるという斎藤の言葉が親しい友人のようで自分の邪な気持ちと真逆なのだと錘を飲み込んだようで胸が詰まる。 切れた画面をじっと見つめながら、斎藤に傾いていた気持ちを整理しようとすればするほど何をどうしていいのか分からず、ただ嗚咽が漏れ膝を掻き抱き顔を埋めた。
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