セカンドキス

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「そうじゃない。来てくれて嬉しいです。今週は会えないと思ってたので……」 もう来週からは会えない会わない方がいいと思ったはずなのに、斎藤の悲しむところは見たくないと、約束さえしていない週末ごとの訪問にこんな確証じみたことを口走ってしまう。 「……若宮さんと会えない週末は寂しいです。毎週会いたいです。なんならうちで一緒に暮らしたい。それくらい一緒にいたいです」 突拍子もない斎藤の存在にただでさえ鼓動は早鐘のように打っているというのに、思いもよらない衝撃で呼吸を忘れそうになった。 一緒にいたい?それがどういう意味なのか理解しようとするのにあまりの衝撃に斎藤を見つめたまま思考が止まってしまった。 「それって……」 「……若宮さんが帰られた後……寂しくて……週に一度だけじゃなくて、毎日貴方の顔が見たいです。若宮さんは……違いますか?」 斎藤への想いは強いと思っている。そう言ってくれる斎藤の真意をまだ疑ってしまう。 じゃあ、あの男はなんなのか。仲好さそうに肩を抱き寄せられ喜んでいたんじゃないのか。その光景を目の前に時臣の心情は穏やかなんていられる訳がなかった。悲しみと嫉妬、斎藤への想いに胸がちぎれそうに痛んだ。 こんなのは片思いの嫉妬だとわかっている。勝手に好きになって勝手に振り向いてもらえると思い込んでいたんだ。それは斎藤とは無縁のことで時臣が勝手に思い悩み、斎藤への想いを断ち切ろうと思ったところだったのだ。 「……毎日一緒に居たいですよ……でもそれはどういう意味に捉えたらいんだろう。斎藤さんには想いの人がいるんじゃないんですか?それとも浮気とか平気で出来る人なんですか?」 こんな言葉を言いたい訳じゃない。斎藤が傷つくことは容易に考えられる事でも穏やかではいられない時臣は理性と戦うまでもなく恨み言を口にしてしまった。 斎藤は目を見開いたまま何度も口を開けまた閉じ、何かを言葉にしたい様子が伺える。綺麗な瞳にゆらゆらと揺れ瞬きと同時に零れ落ちた。それを拭いもせず真っ直ぐ時臣を見つめていた。
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