セカンドキス

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 斎藤を取られたと思い込んでいじけたように嫉妬をした。そんな時臣に目を逸らさず斎藤は想いを伝えてくれた。 ここで気持ちをちゃんと伝えなければ何も始まらない。 今日のあの光景を思い出せば斎藤の横には他の誰でもない自分が立っていたいと思った。恐れていてはダメだ。斎藤はちゃんと想いを伝えてくれた。時臣が欲しくてたまらなかったものが目の前にある。 「俺はずっと誰かに愛されたい……こんなに愛されていんだろうかと満たされるそんな恋愛がしたかった。でもそれは自分の気持ちを押し付けるだけで上手くはいかなかった。斎藤さんとは……終わりがない関係でいたいって思ってたんです。友達でもいい。でも……誰かのモノになってしまう貴方を見たくなかった。好きなんです、斎藤さんが……」 喉まで出かかったこの想いを何度飲み込んだだろう。 叶わない夢だと諦めていた。目の前にあるものに手を伸ばしたい。抱きしめた斎藤を離したくないと力を込める。 「……若宮さんを僕の愛でいっぱいにしたい。怖がらないで……僕の胸に飛び込んできて……」 抱きしめた腕の中の斎藤は胸に飛び込んでこいと言う。 そのアンバランスな呟きに嬉しくて涙が止まらなかった。 「俺は重いよ。根を上げても離してあげられない。斎藤さんを俺のものにしたい」 時臣は夢が現実になる瞬間を見た気がした。誰かに求められる。それも自分が求めて止まない人に。こんな現実が目の前にある。実感がふつ、ふつ、と湧き上がってくると同時に時臣の瞳から涙が止めどなく溢れた。 腕の中から顔を上げた斎藤は時臣の目の前に立ち、時臣の髪を優しく梳き抱きしめた。 「自分が誰かを好きになるなんて……ないと思ってました。若宮さんに出会って、男の僕がこんな感情はダメだって苦しいくらい堪えたんですけど……我慢できなくて……」 早鐘のように打つ斎藤の鼓動がその言葉をどんな思いで伝えてくれたかがわかる。同性に告白するリスク。それは同性しか好きになれない時臣が一番よく知っている。 (ちゃんと言葉にして伝えなくては……斎藤の瞳を見てちゃんと……) 身体を離し見上げた斎藤は頬を染め見下ろしてくる。手を伸ばし斎藤の両手を握り締めた。 「この関係が壊れてしまうかも知れないのに……勇気を出して言ってくれてありがとう。斎藤さんと知り合ってから僕の生活、未来は変わった。貴方に求めてもらえるなんて夢みたいだ。俺は斎藤さんが好きです」
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