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「ありがとうございましたー」
アルバイトの店員さんの声を聞いて、私達は店を後にした。
「あったかーい!」
「そりゃラーメン食べたからね」
詩織さんスープまで飲みほしたしねと心の中で付け足して。二人で海沿いの道を歩く。
「でさ、話、なんだけど」
「あ、そうだ。うん。何?」
「忘れてなかった? 今? まぁいいんだけど。一つだけ、言いたいことがあったんだ」
「何? 急に改まって」
なんとなく胸の奥がザワザワした。詩織さんを見れなかった。
「今日の午後五時に、ここに来て」
「どこか行く……」
どこか行くの? と訊きおわる前に、その言葉は打ち消された。
そこにはあるはずの詩織さんの姿がなかった。
「詩織さん・・・?」
ドキドキした。詩織さんが・・・いない?
「急にどうしたんですか? 何かの冗談ですか? ほら、隠れてないで出てきてください」
私は落ち着きを失っていた。そのとき私はどうやって家に帰ったかまったく覚えていなかった。
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