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「・・・もう四時だ」
気がつくとそこは家で、詩織さんと別れてから四時間が経とうとしていた。
『今日の午後五時に、ここに来て』
急に詩織さんの最後の言葉を思い出した。
行かなくちゃ。そう思って私は服を着る。
カバンは持たずにスマホと財布と家のかぎだけをポケットにつっこんで歩きだす。
詩織さんと出会った道路を通り、詩織さんと待ち合わせした公園を抜け、一時間も経たないうちにそこに着いた。
なんとなく海をながめていると、足音がした。誰だろう? こんな時間に、こんなところで。
そう思って顔を向けると、そこには――。
詩織さんがいた。
「詩織さん!?」
私は反射的にそう叫んだ。
そこで、意識がとぎれた。
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