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第四幕.いてつく世界で死に急ぐ
1.
実ヶ丘市の中心街にあるスーパーマーケットから一一〇番通報があったのは、紅葉の綺麗な晩秋だった。
八月から九月にかけて物騒な事件ばかり起こっていた実ヶ丘市だが、またしても厄介ごとを産み落とした格好である。
実ヶ丘警察署の強行犯係に勤務する巡査部長、徳憲忠志は出動要請を請け、捜査チームを編成して現場へ向かった。
徳憲は一時期、警部補へ登り詰めた敏腕刑事だった。凶悪犯罪の検挙率は実ヶ丘署の最多記録を保持しており、今年も破られていない。
現在は夏の事件で一つ失態を犯した――世間的にはそういうことになっている――せいで、警部補から巡査部長に降格されはしたが、今の調子で職務に邁進すれば、近いうちに再び昇格試験を受けられるだろう。
それはともかく。
「東京都内を中心にチェーン展開しているスーパーマーケットですね」
パトカーで乗り付けた徳憲は、店の前に降り立った。
部下たちの手で縄張りが敷かれ、当然のように店は臨時休業となった。
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