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―その後、聖オパーリア学園・西アリーナ―
「あんたなんかに……絶対負けないんだからね!やぁぁぁぁぁっ!」
『何回来ようが結果は見えてんだよ!それに、兄と違ってお前には何もないだろうがぁ!』
しまった…前に踏み込みすぎて、相手の様子が見れない……
『血反吐吐いて己の無力さを知ったらどうだこのバカ女ぁぁぁ!〈重力壊〉!!』
ドガガガガガ……ギュイイイイ……
くっ……苦しい……息が……体の力が……お兄さん……
私はそのまま重力の波動に押し負けて、意識を失いながらアリーナの壁に叩きつけられて……
意識を失った。
『ほぅ……驚いたなぁ……オレの力がそんなに効いてないとは、流石守護騎士ってところか。だがな……か弱いお前がオレに勝つことはできないんだよ!』
ああ……私、死んじゃうのかな?さっき、ファルクにあんな大口言っておきながら……情けないわね。
お兄さん……お兄さん……私まだ死にたくないよぉ……
『……ぐおあっ!』
オレの背後に青い光が見えた……ということは、この女の仲間が来たのか……いや、違った。だが、手にいれたこの体が本能的に訴えてきた……“命が危ういのは女ではなく自分”だと。
目の前に現れたのは青い狼だった。
『貴様……何者だぁ!なぜそんな見た目でオレの助力をしないんだぁ!』
『……………………………』
『答えろぉぉおおおおお!』
グググ……
『何っ、オレよりも細い腕で…なぜオレの動きを制しているんだ?……まさか、お前……伝説の災獣〈霊狼〉か!』
『それ以外に何に見える……噂の〈罪魔〉よ。』
『はっ、離せぇ……オレはまだこの力を手放したくは』
『知ったことか…お前の事情など』
オレは霊気を放つ霊狼の太刀を至近距離で受けた。それは、オレの“死”を指していた。
『………小さき戦乙女よ、その勇気に敬意を払おう。』
あれ、私……誰かに抱き抱えられてるのね。とても、ゴツゴツしてる……だけど、とっても優しい感じ……ありがとう、紳士さん。
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