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#02 終わらぬ罪の連鎖
―〈影の輝石〉クリスタ本部―
「……なるほど、人の形を取った新手の化け物か。で、お前さんはそれに対して規律違反スレスレの力を行使して撃破…。もっと他に方法は無かったのか?お前ほどの奴が珍しいもんだな。」
「マスターゴードン……これは極めて異例の出来事だ。本来ならこの街に災獣以外の邪な存在は入るだけで塵芥になるはずだ……だが、ならなかったということは何か影の工作があった可能性がある。」
「ほう……災獣以外の存在……ね。お前たち若造の間で噂になってる罪魔かい?」
「いや……それにしては何か違った。本来なら無いはずの“心”があったように思える。」
あれはただの災獣による暴動とは言わない!既に倒してしまったが、奴は確かに人の言葉を発していた……どういうことだ?
「そうかい……んじゃ、報告はそんな感じでいいってことだな?」
「ああ、そうだ。少し用ができた……失礼します。」
―ウィリーの家―
俺、ルージュ、そしてウィリーの三人は訳あって本来の姿を隠して生活している。だが、どれほど距離をおこうとも本能で居場所を割り出せる。
俺がウィリーの元を訪ねるときは大概、事件の解決に繋がる手がかりを教えてもらうときだ。
そんなウィリーはいつも屈強な体には絶対もったいない黒いスーツ姿だ。ネクタイまでしっかりつけてる。
「おや、ウォルフレッドじゃないか。こんな夜中にうちに来るとは何事だ?」
忘れていた……ウィリーの家はオニキスにあるため、俺がこの春から配属されたクリスタと昼夜が逆転していたんだった。
「コーヒーを頼む。……最近、クリスタで少しずつ妙な出来事が起き始めているのは知っているか?」
「知らんはずがない……そして、ウォルフレッドが次に問おうとしていることもだいたい想像がついた。なぜ本来ならば消滅するはずの存在が存在できているのかだろ?」
「ああ、その通りだ。ウィリーはどう思う?」
「お前も勘付いているはずだ……明らかに人為的な何かが絡んでいるだろうな。」
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