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―翌日―
「今日もまたお仕事なの?ここのところ毎日な気がするよ?」
ああ……本当に許しがたい!そして今すぐゴードンを殴り付けて時間調整をしてもらいたい!
「すいません……どうしても今回ばかりは外すことができないので…でもご安心を、必ず夕刻には間に合わせると約束します。」
「今日は……守ってね。」
「必ず。」
―聖オパーリア校区―
先の一件で、聖オパーリア校区周辺は厳重な警備体制が敷かれた。
そして俺は何をするのかと言うと……事後処理を兼ねた現地調査だ。過去にもこうして事後処理を任されることはあったが、今回は不審点ばかりで正直、事後処理うんぬかんぬで済むレベルではない…故に、調査ではなく探偵染みたことまでやらねばならない。
この街で高位魔獣である〈霊狼〉が出現したことはどうやら無かったことになっているらしい。
俺としても……無かったことにしてくれた方が好都合だ。しかし、その力が使えないことを考えると、骨折りもいいところだ……
ん……あの金色の髪の少女は……この前の!
「あ、おはようございます!何か難しいお顔をされてますが、何かあったんですか?それとも…あなたも“狼さん”を探してるんですか?」
なっ…………“狼さん”だと!?この少女はやはりあの時の…もしや、俺の正体にもう気がついたのか?だとしたらまずいな……
「いえ、私はこの街に調査に出向いていたところですよ。そういうお嬢様は、これから学園ですか?」
「あ、はい…そうなんです!私、メイって言います!」
「私はウォルフと申します。もし宜しければその荷物を持ちますよ、お嬢様。」
「いっ、いいんですか?」
「お嬢様のお荷物を持つのは紳士の役目ですから……」
我ながら本当に女性に対する拒否が発動しないとは困ったものだ……いつ逆手に取る輩が現れるか分かったものじゃない。
故に私はそういつまでも猫かぶりの紳士を演じるわけにはいかない……!
―その後、学園門前―
「では、この辺で失礼します。」
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