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―その後、郊外の路地裏―
昨日の戦いの後、ボクは“罪魔の核”を宿主から手に入れ、保護していた。
「ふぅ……やっぱり、欲を求める人間はコイツを成長させるいい餌だね。」
「やはり……お前が手を引いていたようだな、ヒューガ。その手に持っているものを渡せ!」
俺はとりあえず、ヒューガに対し青い刀身の剣を向けた。
「断るね……だって、コイツもうじき完全体になるんだからねぇ!」
完全体……ということは、あれはまさか!?
「今こそ核より解き放たれよ……超災獣ヴァイノス!」
ヒューガの唱えた不思議な術の後、核と呼ばれるらしい謎の物体が災獣によく似た別の生き物へ変化した。その姿は昨日俺が完膚なきまでに叩きのめしたはずの罪魔にも見えた。
「じゃあね。」「待て……!?」
俺の声に耳など貸すこともなく、そのままヒューガは姿を消した。そして、それを皮切りに化け物が呻き声を上げながら襲いかかってきた。
俺は咄嗟に飛び出し、どうにか奴の攻撃をかわした。
「……この瘴気、ただの化け物ではないようだな。だが、俺を誰だと弁える。」
俺は腰のホルスターから銃を出し、敵の左肩付近に三発ほど銃弾を叩き込んだ。
『グオオオオオオオオ!』
「言っておくが……俺の名はウォルフレッド・ファングス、お前たちのような邪な存在に〈夢〉を見せる者だ。そう……邪な存在が見るのに相応しき〈悪夢〉へと誘ってやるぞ……!」
俺は抜刀していた剣に青い風のエネルギーをうんと纏わせた。そして、怪しく光るその剣を奴の首に力強く当てた。
激しい血飛沫と断末魔の叫びを伴い、超災獣とやらは沈黙した。
「お前が見る夢は……〈死の世界を彷徨い、朽ち果てる夢〉だ。夢が覚める頃にはお前はとうにあの世に送られているだろう。せいぜい楽しめ……」
俺は剣を納めると、銃もクルリと回してホルスターに戻した。
「悪いな……俺の剣は俺自身が斬りたいと願わない限り、他者の生命を奪い取ることは不可能なんだ……お前に少しでも更正の余地を与えたい、俺の慈悲だ。」
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