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―三年前―
俺は、ある一人の守護騎士の従者としてある任務に就いていた。
……かつて、禁忌の実験をしていることが公にされた都市・ティガイアと呼ばれる街があった。そこにある〈人為的に災獣を産み出す実験器具〉を破壊すること、そしてそのデータの回収が俺たちの任務だった。
だが俺は……ミスを犯した。
『グルルルフフファ!』
がぎぃぃんという音と共に俺は持っていた武器を全て使えなくなってしまった。そう、器具や装置の破壊を阻止せんと動いた人造災獣…後の罪魔に襲われたからだ。
いくら身体能力が高いとはいえ、当時の俺はまだ若冠十三の体では、自分の思うような動きなど上手く取れるはずもなかった。
俺はそれが悔しかった……俺が武器を全て使えなくなってしまったことで、俺の主人は……俺を庇った。
そして、全てが片付いた頃、恐る恐る元いた場所に戻ってきた俺が見たのは…焼き焦げた跡一つ無い朱色のコート型のギルドの制服と側に手紙を添えてあった銃だけだった。
「ガルフ……ガルフ……!ねえ、いるんでしょ?いつもみたいに『よう、相棒!』って答えてよ!ガルフーーーーーーー!!」
そう……俺を好きでいてくれた……俺に安らぎの場所をくれたあの人はもういなくなった…ただ一つの重い現実が、俺の心を破壊した。
―クロゥの家―
「あんときは上層部の奴らと連携するよう指示されてたからね…それに、相手が悪かったんだ。……って言っても、お前には関係ないか。さて、話を戻そう……今は苦痛なくしゃべれていても、そろそろじゃないか?」
俺は一瞬、何のことだと思ったが…すぐにその答えがわかった。右目がさっきから少しずつ焼けるように痛んできていた。
これが……あの日覚醒させた力の代償というわけか。
「……俺が右目で物を見ているのはお前も知っているだろ?」
「分かってるさ……いつでもお前に渡せるように何度か調整してあるよ。右目が見えるような仕掛けも組み込んである、オンリーワンのやつさ。」
「それは助かる……まだ俺は…」
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