#03 忘れたい過去の整理

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目の前の少女の名はムジナ。俺と同じく過去に親を失ったことで、〈影の輝石〉に拾われて育った子だ。 拾われた時期がいつかは知らないが、借りに俺と同じなら同い年ということになるが、正直なところ…俺はこの子から兄のように慕われる理由が分からない。 「ムジナ、久々だな。相変わらずコミュニケーションは文字を書き記すことでしか取れないか。…いや、気にしなくていい。」 “お兄様の意地悪。それより…人形少女の教育係ってどういうこと?まさか……変なこと教えてない?” この女ぁ………なぜこうも俺を疚しいことを吹き込む鬼畜教師のような物言いをする!そもそも俺はまだ彼女を外に出したことすら無いぞ! 「……そんなことはない。むしろ、〈呪血の薔薇〉のルージュが正にそんなことを吹き込んでいる。」 “教師なら止めなさい。もちろん、ウォルフレッドお兄様ならできるよね?” 「あ、あぁ………だが俺はまだこれから任務が」 “できるよね?”「………………気を付ける。」 ……お兄様という呼び名も、筆談だからと言って調子に乗ればすぐに威圧的な物言いになるのも勘弁していただきたい。 「おう、いたか…二人とも。実はお前たちに調べて欲しいことがある。というのも…この数日間で起きた一連の事件の黒幕を探せってことだ。変化の達人とギルドの最強剣士が組めば楽勝だろ?」 「あのなぁゴードン……命令する側は楽かもしれないが、いざ表立って調査する側は命懸けだぞ?少しは賃金を上げるなり階級を上げるなりしてもバチは当たらないと思うぞ?」 しまった……横にムジナという人がいながらとんでもないことを口走ってしまった! 「分かった、この任務だけだぜ?それ以外の任務は通常賃金で行くからな。」 こうして、三度俺はクリスタの街へ赴くこととなった。 ―クリスタ・オパーリアの街― “以外とお兄様ってがめついお方だったのね、少し幻滅したわ。” 「幻滅など…ご勝手にどうぞ。…………ん、あれは?」 なぜこんなところにレナがいるんだ!どうやって俺の家のロックを掻い潜った!
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