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「すまない、ムジナ……二手に分かれよう。オパーリアはクリスタ最大の都市と聞く…二人で同じところを探し回るのは効率が悪い。」
“しょうがないお兄様ですね…いいよ、私もこの街に来るのは初めてだから色々と回りたいの。”
「そうか」とだけ残し、俺はレナが歩いていった方へまっすぐ駆け出した。
―聖オパーリア学園管轄のアリーナ―
「ここが私の学園が管理してる大アリーナよ。って………あれって、ウォルフさん!?」
俺は思わず急ブレーキをかけた。靴から火花が出たが、火の手が上がらなかったので無視した。
「これはこれは…メイ様にレナ様じゃないですか…こんなところで何をしてるんですか?」
少しばかりの怒りを込めて言ってみた。
「じっ、実は……今朝黒猫を拾ったとき、突然その猫がレナちゃんの姿になったんです!嘘じゃないですよ!」
……だいたい察しも付いたし理解もした。
「ごっ……ごめんね、ウォルフレッド。私……お外に出たかったから、窓ガラス壊して黒猫になって出てきちゃった……許して?」
「………悪気はなさそうなので、今回は目をつぶりましょう。ですが!窓ガラスを壊した罰として……私の任務に付き合っていただきます!」
………は?自分でも何を言ったのかよく分からなかった。私はレナを叱ったはずなのに、なぜ共に任務を遂行しようと誘った?
「………分かったよ、ウォルフレッド。私にいっぱい色んなこと教えてね。」
「変なこと教えないでくださいね!」
「分かっていますよ……(何でここまで反復して言われなきゃならない!)それで、なぜお二人はここに?」
「私が案内してあげてたんですよ……この街のこと分からないって言うから。」
「そうでしたか……ですが、レナ様。今後出掛けるときは私に一声おかけいただけると安心します。」
「うん……覚えておくね、ウォルフレッド。」
「では、私はこれで失礼します。……と言いたいところですが、レナ様…罰は罰ですからね!」
「はぁい……」
俺はレナ様の小さな手を少しだけ引っ張り、メイ様の元を去った。
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