#01 蒼き月の下で

3/10
前へ
/20ページ
次へ
私―メイ・サンブライトは、クリスタの統制者の集まり〈円卓の結晶王(サークル・オブ・ジュエル)〉の一角を担うサンブライト家の一人娘。 私にはお兄さんがいたの。私はそんなに覚えてないけど、確かなのは三年ほど前に守護騎士(ガーディア)の仕事に就いていた時に災獣と戦って殉職したということだけ。 私は、そんなお兄さんの無念を晴らしたい一心で守護騎士で構成されるギルド〈光の輝石(シャインジュエリア)〉のガーネッタ第一部隊に入ったの。 そして今日は、その事を隠して中央都市・オパーリアにある聖オパーリア学園に入学する日なの。 可愛い制服を着てこれから三年間、きっと楽しい学園生活を送れると思うの! ―クリスタよりも外の世界・ヴァンダー― クリスタはよく〈輝きの島国〉なんて言われてるけど……それに隣接する〈終わらぬ闇の国〉なる場所もしっかりと存在してるんだよねぇ… このボク、ヒューガもそんな闇の国ヴァンダーの住人ってわけさ。この国の住人はまず人間なんて者はいない…まぁ、人間の姿をした怪物どもが少数存在するだけ。 「オニキス郊外に解き放った魔羊級の災獣どもがたった一人の暗殺剣士(デスブリンガー)に全滅…だと!?どういうことだぁ!」 「申し訳ありません、ヒューガ様!どうやら奴はあらかじめ我らの動きを察知していたようで……」 となると……今回邪魔をしてくれたのはあの男(ウォルフレッド)か。 「この件の後始末はボクがしよう……キミらはよく働いた。もう休め。」 「しかし、あなた様を失うようなことがあればヴュース様のお怒りを買うことになりまs」 ガッ 「ボクが負けると言いたいのかい?残念だけど、ボクはヴュース様の軍勢の幹部だ。幹部ともあろうものが負けるはずないだろう?」 ……あんなはぐれ者ごときに引けをとるようなボクじゃないことを今に証明してくれる! ボクは部下の首から手を離し、穢れた黒い翼をはためかせてオニキスへと向かった。 仮にもあそこは宝石の名を冠している。長居こそできないが、仕留めるものは仕留めるさ。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加