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―オニキス郊外―
「……こちら、ウォルフレッド。ただいま依頼を完了させた、帰投す……!?」
「ヒャッハァー!」ザシュッ
しまった、奴らの中には音一つ立てず襲い来るものもいたことを忘れていた……!
当然の結果、俺は左肩に軽い切り傷を負わされた。だが、回避行動を取ったお陰でそれ以外に目立った外傷が発生することはなかった。
俺は、腰に納刀していた蒼き刀身の剣を引き抜き、構えた。
「やぁ、はぐれ者。このボク、黒炎のヒューガが直々にやって来たんだ……どうしてか、キミにも分かってるんでしょ?」
「ああ、知らんはずがないだろ。だが、お前のような者が仇討ちとは……どういう風の吹き回しだ?」
「いやぁ、ボクもさ…これでも一応お偉いさんでね……部下の失敗の尻拭いくらいしてやらないとじゃん?てなわけでさ……その命よこしなぁ!」
速い………しかも、あの武器の形からして、剣弓か!
「おや、どうしたのかい?残念だけど、そんなんじゃあ張り合えないよぉ?」
「お前のような奴と張り合う気はない!だが、お前が単に仇討ち目的で剣を向けたのなら話は別だな……暗殺剣士の名にかけて、斬らせてもらう!」
キイイイン………
俺はそれまで受け止めていた奴の剣弓を軽くはね上げて払うと、腰のホルスターから素早く銃を取り、数発威嚇目的で射撃した。
「おおっと、威嚇にしてはずいぶんとボクを狙ってたじゃないか。やっぱり、はぐれ者の攻撃は読みにくいなぁ!」
「誉めるのは勝手だが、ここがどこか分かっているのか?……周りをよく見てみろ。」
なっ………あの女は……吸血姫のルージュ!?なぜここにいるんだ!?
「ねぇウォルフレッド、私を呼んで何をしたいわけ?あの小鳥さんを落としたいの?」
「いいや、違う。俺はただコイツの相手をしていただけだ。呼んだのは取り巻きを出されたときに対処を任せたいからだ。」
「まぁ、女の扱いがなってないじゃなくて?」
「フッ……それは申し訳ない。だが、少し面倒なことになりそうでね。」
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