#01 蒼き月の下で

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―後日……ギルド本部― 「クリスタ上層部にギルドを置くとはどういうことだ、マスターゴードン!詳しく説明しろ!」 「実はだな…クリスタに存在するギルド〈光の輝石〉が俺たちに救援要請を出してきたもんだからよぉ……特別な許可を下ろしてもらって、一ヶ所だけギルドを設置することにしたのさ。」 あの精鋭ばかりの〈光の輝石〉が、汚れ仕事を担ってばかりの俺たちにそんなことを……色々問い質したいところではあるが、ゴードンの様子からしてそうも言ってられない感じか。 「分かった、だが……クリスタ上層部に配備される人員は決まっているのか?」 「もちろんさ、ただでお前を呼んだわけじゃあねぇってこったぁ。」 フッ、流石腐ってもギルドマスターだけのことはあるなぁ。 「お前さんとお前さんが依頼を受けたっていうチビ助、それからあと何人かは送るつもりだ。できることなら、お前さんに先陣を切ってもらいたい……頼めるか?」 「いずれあの街には行こうと思っていた……俺としても特にこれと言って断る理由はない、引き受けさせてもらうよ。」 「話が早くて助かっちまうなぁ、ウォルフレッド。結晶の柱から向かうといいぜ。」 「ルートまでご指摘どうも。あとはこちらで何とかしてみるよ。」 クリスタ上層部か……何というか、ワクワクするが、油断できないな。特に、取り逃がしたヒューガが何をしでかすか分からない。 俺は結局どこでどう配備されようが、四面楚歌という事実から逃れることは到底無理みたいだな。 話は以上だ、ということだから俺はとりあえず帰宅することにした。彼女にもこのことを伝えておかないとマズイな。 ―ウォルフレッドの家― 俺の家は至ってシンプルな作りだ。俺のというよりはゴードンからギルドに入った際に支給という形でもらったものなんだがな。 まぁ、俺なりに気に入ってるから…お金が出たときにはメンテナンス等をしてもらってるわけだ。 ……ん、この香り、まさかアイツが来てるのか! だとすれば、アイツにも話せるいいチャンスかもしれん、急ごう!
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