第3話:安土琴野の調査

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 バスと電車を乗り継いで、相方のノームと一緒に、黄金の昼下がりの丘市の中央図書館に隣接している郷土資料館に着いた。 焔さんと会うのは夕方なので、まだ時間がある。 郷土資料館に来た理由は、過去の出土資料の確認のためだ。  太陽の丘の祈りの祭壇遺跡。 そこは遺跡として以前から有名である。祭壇と言うだけあって、国宝級の出土品がいくつもの見つかっていることから、当時は大変神聖な場所であったことが伺える。 だが、そこに居住できたのは、神聖な場所ゆえに、神官等の身分のあるごくわずかな人であっただろう。  そこから導き出されることは、神聖な場所とは別に、どこかに当時の人が住んでいた場所があっただろうと言うこと。  つまり、そこは、延いてはアーリマンが危機の場合に、トリガーとなるものが目覚めて活動しやすい場所であること。さらには、早急にアーリマンが復活できるための負の因子が集まりやすい場所であること。 これらの事から、自ずと人が多く集まっている集落付近もしくは、もっと発展していた都市と言うことになる。  地質調査から、貝殻や動物の骨の破片、食器の破片等や柱の跡等が、他の場所よりも突出して出土している場所がある。 そこがおそらく、太陽の魔法で当時はどこよりも栄えていた、忘れ去られた都があった所であろう。 そこは、地質調査後に、今はショッピングモールが建てられている。 この郷土資料館から、歩いて15分程度の場所にある、黄金色の昼下がりの丘市の郊外にあるカンパネラショッピングモールだ。    焔さんに連絡をとり、今日の待ち合わせ場所を図書館からカンパネラショッピングモールに変更してもらった。 焔さんは、快く承諾してくれた。  ちなみに、アーリマンを退治した太陽の丘の祈りの祭壇遺跡は、現在は地下水脈があふれ出しており、その成分に温泉効果があることがわかったため、今後は温泉地として整備される予定だ。
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