第1話:焔千夏の気がかり。

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第1話:焔千夏の気がかり。

第1話:焔千夏(ほむらちか)の気がかり。  まさか、あの子があそこまでするとはね・・・。  正直、あそこまで出来るとは思っていなかった。  あのまま何もしていなかったら、対消滅が発生していなかったら、あの子は死んでいた。 いや、死ぬならまだマシだ。 最悪、千年とか二千年単位で、アーリマンとともに封印されていたかも知れないのだ。 封印された空間のなかで、ずっと耐えなくてはいけなかったかも知れないのだ。 そんな苦しみ、常人に耐えられるはずがない。  しかし、だからといって、自分は連綿と続く太陽神を奉る神官の家系の末裔だ。 だから、あの時に黄金の仮面の男と結託して、ウィルオーウィプスが宿る太陽のロッドの封印を解くことは必然だった。  その上で、私はアーリマンと対峙するつもりだった。  私一人で勝てっこない事くらいわかっていた。でも、私には、私の敗北よりも、太陽のロッドの封印を解くことが大切だった。  この世が一時的にアーリマンに占拠されたとしても、太陽のロッドを解放する事によって、縄文時代から続いた封印都市の呪いが解放され、きっと物事は好転する。  そう思っていた。  
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