第1話:焔千夏の気がかり。

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 しかし、あの子は、自己犠牲をいとわなかった。 自己犠牲によって世の中を救おうとした。  あの子は、太陽のロッドに対抗できうる唯一の存在である、月のロッドのエルフィンマスターだ。 だから、太陽のロッドを消し去ることも出来たはずだ。 でもあの子はそうしなかった。  正直、あのエルフィンマスターたちには期待などしていなかった。 お遊び感覚でやっていて、 そこまでの覚悟なんてないと思っていた。  だからこそ、私はあの子の真っ直ぐな思いを前に、私はとんでもない間違いをしていたと痛感した。  正直、あの子のその心意気に震えた。  でも・・・・。 エルフィンたちが戻ってきたあの日の後のお茶会でも、私は、あの子にちゃんと向き合うことは出来なかった。 ちゃんと、ごめんなさいとは言えなかった。  だからこそ、ケンカしたつもりはないけれど、気まずい思いを解消して、あの子と何とか仲直りをしたい。 きっとそれは、結果的に太陽のロッドにとっても有益な結果を産み出すはずだ。  そう思いながらも、時間だけが過ぎていた。 あの子に何かプレゼントをして、それをきっかけに仲良くなりたいと考えて、約2ヶ月たった。 季節はもう梅雨間近である。 髪留めとかどうだろうか。 いやいや、あの子の髪の毛は、髪留めが必要なほど長くはない。 楽譜とかどうだろうか。 いやいや、それは嫌がらせととらえられかねない。 じゃあ、甘いものはどうだろうか。 それは良いかも知れない。しかし、世の中の女子すべてが甘いもの好きとは限らない。 う~ん。 さて・・・どうしたものか・・・。 6月だというのに、私の相棒は、コタツに潜ったままだ。 彼は、太陽のロッドとの親和性が高いから、太陽のロッドが活性化すれば、彼のこの寒がりもきっとマシになるはずだ。   「サラ、行くよ。」 そう言って、相棒をコタツから無理矢理引っ張り出して、私は街へと出かけた。  いつかランク付けされた際には、私のロッドの音楽レベル85だった。そんなにレベルは 低くはないはずだ。だから、私の相棒のサラ(サラマンダー)の能力も低くないはずなのに、彼の引きこもり気味な性格には若干の懸念を感じる。 火のエルフィンなんだから、普段からもっと燃えるような元気があっていいのではないかと思うのだ。
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