第1話:焔千夏の気がかり。

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 久しぶりに街をぶらぶら歩いていた。 見ているどの服もどのアイテムもかわいい。 でも、どれもが私の家庭の事情的な生活習慣には似合わない。 でも、見ているとあれもこれも欲しくなる。これからの季節は、日除けしながらも、通気性の良い夏らしくてかわいい服が良い。 「チカ、そんなことよりさ、辛いの食べよう。」 と言ってくる。 そう言えばもうお昼ご飯の時間だ。  私は、ホコいっちばんのお店に入って、普通の辛さのカレーを頼んで、その一部にこれでもかって言うくらい激辛スパイスをかける。 他の人には見えないサラ(サラマンダー)は、辛くなったところを一息で食べる。 だから、周囲からは、私の一口がすごい量だと映っているばすだ。 「あ~。 もう大満足。」 と言って満面の笑みを浮かべるサラマンダーは、ちょっとカッコいい。 例えるなら、赤毛のロミオだ。 私のエルフェンが男型で良かったと思う。 ちょっとジュリエットな気持ちでロミオと恋仲になれたらと、ちょっと妄想して思う。 いや、だがしかし、あの物語の終演は悲劇だ。 そうはなりたくはない。 恋が始まらなければ、終わることもない。 だから、今の関係が一番いいのかなと思う。 それに、これがカレシなら、コタツに籠ってもらってばかりでも困る。
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