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好い加減魔法を解除しようと、腕輪に触れようとした時。
『転校生さんもそうでしょうか。』
…転校生?…ぁあそうだ。…この女の彼氏だったか…そいつを殺しに、僕はここに来たんだった。
『え、俺の話はどこに…まぁ、アイツはさぁ…。
…助けてくれるんじゃね。俺も庇ってもらったことあるし…。』
「…フン。」
英雄って奴はどいつもこいつも、そんな奴ばかりなのかね…あー吐き気がする。そんな奴は全員、地獄に落ちれば良いんだ。
『…………。』
まるで、僕の動揺を見透かしたように、女が黙った。
…ふざけんなよ。お前に僕の何が…!
『きゃー!なめくじ!怖いですわー!』
…は?
『え!?ちょっと待て待て!』
何だ?ナメクジが大量発生でもしたのか?…うわ、時間戻したくねぇー…。
『転校生さん、助けてくださいましー!』
…は?
……は?
『姫殿ぉぉぉおぉおお!姫殿ぉぉぉおぉおお!!!!!ご無事ですかー!!』
「…っ。」
女の従者…その暑苦しい声で我に帰る。…あれ?僕、何でショックを受けてるんだ…?
『あら。』
「…え?」
さっきまでの悲鳴が嘘みたいに、女が平気そうな声を出す。…「なんだお前か」みたいな…。
…?…は?
………は?
…ただただ震える。
え?何…?
こいつ…この女が、彼氏に媚びる為に態々あんな演技をしたって言うのか?
「…っ…ははははははははっ!」
…何時か、この女と話す時に、自分で決めた勝手なルールを思い出す。
…嘘は吐かないこと。…絶対に、被害者面をしないこと。
「ははははっくくっ!げほっ…!ごふはははははっ…うう゛ぇええええっ!!ははっはっ…!」
ぁあ…おかしくて笑っちまう。おかしくて泣いてしまう。おかしくて吐き気がする。
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