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こうなるとやはり、正波仁が怪しくなる。この機に陰世が動いたからには、光が失われたことと陰世が無関係であるとは考えにくい。
「そなた、本当は陰世民なのですか? わざと太陽神様を眠りに導いたのですか? どうか私には、真実をお話しなさい。陰世が何ゆえ一億年の均衡を破ったのか、その意図だけでも知りたいのです。私は太陽神様が自ら寝床に入られるのを見ておりました。そこに合意があったのは事実でしょう。正直に話せば、そなた一人を責めはいたしませぬ」
「日奈神子様、私は本当に、ただただ太陽神様のお望みを叶えて差し上げただけなのです。私は陽世民です。どうか信じてください」
これでは埒があかない。
日奈神子は諦めて自室に戻り、これからのことを考えて途方に暮れた。
こんなことになるなら、もっと太陽神様に優しくしていれば良かった……。私がいつも邪険に扱っていたから、太陽神様は私に相談もなさらずに正波仁を連れ込んでしまったのかもしれない。もっと太陽神様に信頼される神仕えでなければならなかった。全ては私の不徳が呼び起こしたことなのだ――。
だが、今さら日奈神子が後悔しても、もう遅い。
太陽神様はぐっすりとお眠りになって、それはそれは幸せそうで、二度とお目覚めにならないのではないかと思われた。
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