勿忘草

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何故、こんな事になってしまったんだ。 絶望の淵で呆然と立ち尽くす。 貴女と幸せを迎えた朝、この上ない幸福感を胸に陽の光に飛び出して、コトは起こった。 激しい痛みに襲われたのだ。 日々、鮮やかな風景を写していた目の前が真っ白に弾け、やがて真っ黒に塗り潰された。 焼けるような痛みが走って、前にか後ろにか倒れたのを感じて、その痛みに叫んでいた筈だが、それは声になっていなかったのだろうか? それとも響いたが、誰もこの叫びには気付かなかったのだろうか。 分からないが光は閉ざされ、そのまま記憶は沈んだ。文字通り、ソコで終わりだった。 閉ざされた世界で一筋の光さえも見えず手をザワザワと動かしても何も視界は動かなかった。 その時思った事ただ1つだった。それはもう貴女に会えないだろうと言う悲しみだった。 もしかしたら頬には涙が流れていたかもしれない。 「泣かないで」 また貴女が言った。その言葉に意識が今へと戻る。
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