復活

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復活

 消失したはずだった。だが気づくと僕は国重さんの腕の中にいた。僕は自分の身体を取り戻していた。間に合った?  立ち上がり国重さんを見た。そして彼女を抱きしめた。両腕を背中に回し、ギュッときつく締める。  そっと目を開けると、暮れゆく小川の風景が目に入った。川の向こうにある山の稜線はオレンジ色に縁取られている。  突然の抱擁に、国重さんは呆然と立ち尽くしていた。呆然としたいのはこっちだった。「なぜ消えなかったんだろう?」と僕は彼女の両肩を掴んで、そう聞いた。  彼女は僕の手首に巻かれていたホースヘアのブレスレットを指さした。 「これ、ホースヘアじゃなくて……私の髪の毛なんだよね」  僕は目を丸くし、口元歪ませた。 「ほら、びっくりする。だから黙ってたんだけど」 「いや……」と言い、頭を掻く僕。 「言ったでしょ。身体の一部が触れていれば、ある程度は回復するって」 「そうだったね」  国重さんは、僕の目をまっすぐ見据え、こうつぶやいた。 「初めて、君から抱きしめてくれた」  沈みゆく夕日を横目に、僕は沈むことのない感情に満たされていた。
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