彼女

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彼女

 翌日の昼過ぎに、恵美の家で目を覚ました。左手を見ると、小指は完全に半透明になっていて、それが薬指にまで浸食している。背筋が凍った。恵美には内緒で小指と薬指に包帯を巻いた。  巻いている途中で、恵美がトイレから出てくる。 「怪我?」彼女がそう聞くので、僕は「突き指」と答えた。 「寝てて?」 「寝相が悪かったんだよ」と誤魔化すが、彼女は首をかしげるばかりだった。 僕の座るベッドに腰掛ける恵美に向かって、こう聞いた。 「僕のこと好き?」 「何言ってるの? 当たり前でしょ」  僕は恵美を抱きしめた。彼女も軽く抱きしめ返す。 「突然どうしたの?」  しばらくして、恵美は僕からゆっくりと離れていく。だが浸食は止まらなかった。今度は中指の先が消えかかっている。僕は左手を押さえ、慌ててトイレに駆け込んだ。
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