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高校では学級委員をやっていた。中学では別の子が他薦で勤めていたけれど、高校では瑞香が選ばれた。不思議と一年間その任に就くと、クラスが変わっても二年、三年と当たり前のように毎年継続して勤めることになった。
いつからか、「瑞香ちゃん」と呼んでくれる子は少なくなった。中学校でも高校でも友達はいたし、クラスメイトともそれなりに上手くやっていた方ではあるけれど、「委員長」「市原さん」と呼ばれることの方が多かった気がする。
――誰も本当の私を知らない。
気がつけば、そんな風に心のどこかで思うようになっていた。
瑞香は特別器用な訳でも、地頭が良かった訳でもない。ただ、誰かに褒められること、認められることが嬉しかっただけ。
最初はそんな純真な気持ちも、イメージを守ることに必死になって、本当の自分ではないのにそれに気づきもせず、平気で求めてくる他人に苛立ったりもした。本当の自分を隠して、理想の自分で塗り固めたイメージを他人に与えていたのも自分自身であることも忘れて。
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