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「……ふざけるな。俺はずっと近衛が好きだった。近衛が新入社員で入った時からずっとずっとずっと見てきたんだ。……お前なんかに取られてたまるか!」
あの、待ってください課長。
別に私誰にも取られる気ありませんが!
と、そんな心の声は届かず、課長が振り上げたのは……ハンマー!?
え!? なんでそんなもの持ってるんですか!
いやそんなことよりそんなの当たったら碓氷さんがただじゃ済まない……!
「何故ハンマー?」
すると、そんなもっともな疑問と共に、パアン!と何かが弾けるような音がした。
いやそんなこと言ってる場合じゃありませんから! 何しようとしたのかはすっごく気になりますが!
「うっ……」
気付いたら、課長は右手を抑えて低く呻いていた。ハンマーは遠くに飛ばされ、コロリと金属の球のようなものが転がっている。
え、いや、まさか。
「警官にハンマーで襲いかかってくるとは。発砲されても文句は言えませんよ?」
いや既に発砲してるがな!
とんでもないよこの警官! よくわからんけどそんな気軽に発砲していいものなの!?
そんなことこの住宅街でしたら騒ぎになっちゃうんじゃ……あ、そっか。それが狙いか。
「クソ、クソォオオオオオ!!」
最早課長のデキる上司像は木っ端微塵だ。
課長のことは尊敬していたのに、実際は私のストーカーで、今はどう見ても勝ち目がないのに発狂しながら碓氷さんに素手で襲いかかっている。
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