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「何か身分を証明できるものはありますか」
「え?」
仕事帰り、同僚に飲みに誘われたはいいものの、久しぶりだったからか通常以上に酔ってしまった。
そして酔いを醒まそうと近くの公園のベンチで休んでいたら、いきなりかけられた声。
弾けるようにして顔を上げれば警官の制服を着た男がこちらを見下ろしていた。
え!? 警察!? と酔った頭でも焦りは感じられ、条件反射で胸ポケットに入れていた社員証を渡す。
私から受け取った警官はそれをまじまじと眺めた。
「ふむ……」
な、なにか不審に思われたんだろうか……?
もしかして変質者に間違われた? 酔ってるせいで顔は赤く目は虚だろうが、見た目はそこら辺の会社員と大差ないはずだけど……。
――――ズキン!
考えていたら、頭が酷く痛んだ。
ああもう、暫く飲んでなかったから調子乗った。ウイスキーロックで3杯はまだ私には無理だったようだ……。
加えて警官には捕まるし、今日は散々だ。
――――しかし私は知らなかった。この直後、さらに自分の頭が痛むことに。
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