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本物の悪魔
その男は美しかった。端麗な顔立ち、深紅の瞳、漆黒の髪、禍々しくも美しい角。
PCディスプレイで見たバーチャルキャラクターがそのまま出てきたような――いや、現実として目の前にいる彼は更に美しく、妖艶であった。男同士の営みに差別的な程まで毛嫌いしなければ、抱かれてもいいと思えるほどに。
これがサタン・サタニアスと言うバーチャルではない本物。
膝を折り両肩が脱力した俺を、玉座で足を組み見下げる様は悪魔にしては神々しく見えた。
その右隣りには、凍らせたかの様に逆立った白銀の髪の男。顔は白い面で覆われているがその目は冷たく、周りに漂う空気は吹雪の様に極寒だった。
更に、サタン・サタニアスの左隣の漆黒の鎧を纏った男は、俺を見下す様に見つめ、耳にまで届きそうな程口角を吊り上げ声無く嘲笑う。この男もPCディスプレイでみたバーチャルキャラクターと全く同じ容姿をしていた。サディストの極み。ドエスデス将軍。
この三人の視線にあてられ、心臓の鼓動が爆音となって直接脳に響く。
全身の毛穴が開き汗が零れるのを肌で感じる。
俺に対してサタン・サタニアスは言う。
――人間を辞めるか、死ぬか選べ――
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